杉咲花 映画『52ヘルツのクジラたち』大ヒット御礼舞台挨拶
2024年3月7日(木)に行われた、映画『52ヘルツのクジラたち』大ヒット御礼舞台挨拶に杉咲花が出席した。
杉咲花を主演に迎えた成島出監督最新作『52ヘルツのクジラたち』が3月1日(金)全国公開した。町田そのこによる原作「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)は、2021年の本屋大賞を受賞し、累計発行部数100万部目前の圧巻の傑作ベストセラー小説。<52ヘルツのクジラ>とは、他の仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。しかし、そんな「世界で最も孤独なクジラ」たちにも、その声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。その声はいつか届く─。
主人公・三島貴瑚を演じる杉咲は「貴瑚を演じました杉咲花です。平日のこの時間に来てくださってありがとうございます。今日はよろしくお願いします」と挨拶し、公開から1週間が経ち「去年の夏の時期に撮影をして、あっという間に公開を迎えたので、初日の日もなかなか実感がわかなかったんですけれど、本当に沢山の方々が映画を観て感想を寄せてくださって、少しずつ届いているんだなっていうことを身に染みてありがたく感じています」と感謝を述べた。
早速、事前に募集した質問に答えながらトークが展開され、本作の撮影を通して新しい気付きや発見があったかという質問に「この映画の中に描かれる登場人物それぞれに、観てくださる方々の中にも当事者の方々がきっといて、だからこそ分かったつもりになってはいけないと思っていて。様々なスタッフさんが、多角的に多種多様な視点を持ち寄って、より良いものにしていくためにはどうしたらいいんだろうっていう熱い議論を積み重ねていった日々だったので、たどり着けたものがあったように思いますし、やっぱり自分に分からないことを分からないって言葉にして、それをシェアすることで初めて見えてくるものがあって。分からないことはダメなことじゃないんだと思えたことが、その相手を知るための第一歩に繋がるんだっていう、すごく自分にとっても大切な経験になったなと思います」と答え、原作を読んだ感想を「私自身はこの原作を知ったのが、美晴を演じた小野花梨ちゃんの紹介で。まだその時は映画のオファーをいただく前で、ちょうど購入していたタイミングで本作のオファーをいただいたっていう、すごく運命めいたものを感じていた状態で拝読したんですけれども、やっぱりこれだけ繊細な物語を2時間前後に収めるのはとても難しいことだなと感じて。自分には聴こえていなかったかもしれない声が、原作に出会ったことで、聴こえる周波数が少しだけ広がったような気持ちに私自身はなれて。肉体を通してどのようにして演じられるだろうかっていうことに、とても緊張感を抱きました」と振り返った。
また、寄り添い続けることに疲れてしまった時どうするかという質問には「すごい優しい方なんだなと思いながら考えているのですが、コップの中にわずかにしか水が溜まっていないものを注いでしまったら、自分の心がカラカラになっちゃうと思うんですよね。だから、そういう時はちょっと休んで、自分の心を守ってあげてもいいんじゃないかなとも思います。そういうふうに寄り添いたいって思っていることは、きっと相手に届くはずなんじゃないかなって感じました」と話す杉咲は、最後に「あと少しできっと皆さんはこの映画館から出て、それぞれの生活に戻っていかれると思うんですけれど、もしよかったら皆さんのすぐ隣にいらっしゃる方々のことを、ほんの一瞬でも想像してみてほしいなって思います。日々を営むきっとほとんどの人が、何かしらの孤独と戦っていると思います。私は生きていたら寂しいことばっかりだって思っているんですけれど、人のことを思ってもみない形で傷つけてしまうことも、傷つけられてしまうかもしれないことも怖いし、他者との関わりって煩しいものでもあると思うんですけれど、でもその寂しさを紛らわせてくれるのも人の存在だったりすると思っていて。だから人の痛みを分かることはできなくても、それでも隣にいて、想像力を持ってこれからも関わろうとしていきたいって、私はこの映画を観て感じました。もしもそんなふうに思ってくださる方がいたら嬉しいなと思います。もしよかったら、皆さんの言葉でこの映画の話を誰かにしてもらえたら嬉しいです。今日は来てくださって本当にありがとうございました」とメッセージを送った。